東京地方裁判所 昭和47年(借チ)2011号・昭46年(借チ)2124号 決定
〔主文〕1 申立人に対し、別紙目録(二)記載の建物の所有権及び同目録(一)記載の土地に関する賃借権を相手方に譲渡することを命じ、右譲渡の対価を金五九七万円と定める。
2 申立人は、前項の対価の支払を受けるのと引き換えに、相手方に対し、前項の建物につき所有権移転登記手続をし、かつ、右建物の明渡をせよ。
3 相手方は、前項の登記手続及び建物の明渡と引き換えに、申立人に対し、第一項の対価の支払をせよ。
〔理由〕(甲事件の申立の要旨)
1 申立外山上菊蔵は、相手方から昭和二八年九月一日別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という)を非堅固建物所有の目的、期間二〇年の約で賃借した。
2 山上菊蔵は、昭和三〇年六月二七日死亡し、相続人間の遺産分割協議により、山上菊蔵の有した右土地賃借権は、申立人において承継取得することとなり、賃料は、昭和四五年一二月分から一ケ月五〇〇〇円に改められ、現在にいたつている。
3 申立人は、本件土地上に所有する別紙目録(二)記載の建物(以下本件建物という)及び本件土地賃借権を東京都大田区本羽田一丁目九番一九号鈴木倉一に譲渡したいが、土地賃借権の譲渡につき相手方の承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。
(決定理由)
1 本件の資料によると、甲事件の申立の要旨として掲げた前記1、2の事実及び申立人が本件土地上に本件建物を所有していることが認められるので、甲事件の申立は、適法である。
2 よつて、相手方のなした乙事件の申立に基づき、申立人に対し、本件建物及び本件土地賃借権を相手方に譲渡することを命ずる。鑑定委員会は、本件建物の価格を三五万円と評価し、本件借地権価格を更地価格(一平方米当り六万円と評価)の六五%と評価し、借地権設定時に3.3平方米当り五〇〇円の権利金の授受があつたこと、申立人が本件建物のうち工場部分を増築した際相手方に七万円支払つたこと及び残存期間が昭和四八年八月三一日までで僅少の期間を残すに過ぎないことを考慮して、譲渡対価は借地権価格の八〇%に建物価格を加えたものとするのが相当であるとする。契約当事者間に右の如き金銭の授受があつたことを認める資料はないが、かりにその授受があつたとしても、これがため譲渡対価が減価されて然るべきであるとする理由にはならず、また、残存借地期間の長短が借地権価格に消長を及ぼすいわれもないので、対価決定につき示した鑑定委員会の右の考え方には賛成しがたい。譲渡対価は、通常の例に従い、建物価格と借地権価格との合算額から借地権を第三者に譲渡する場合賃貸人に支払うべき名義書替料(借地権価格の一〇%)相当額を控除したものとするのが相当であり、本件建物の価格と本件借地権価格の評価については鑑定委員会の評価に従い、右により譲渡対価を五九七万円と定める。<以下略> (小山俊彦)
目録
(一) 東京都大田区本羽田一丁目七四番一
宅地 1521.87平方米のうち
160.27平方米
(二) 右地上所在
家屋番号 七四一の五
木造スレート、セメント瓦交葺平家建工場居宅
床面積 85.93平方米